長禅寺三世堂 – 特別公開

全国で5棟しか現存しない「さざえ堂」

 取手市内の中心部にある長禅寺。大鹿山長禅寺と号し、臨済宗妙心寺派に属している。
朱雀天皇の代、承平元年(931年)に「平新皇将門相馬小次郎(平将門)」が勅願所として創建したと伝えられている。この長禅寺南側の石段をのぼり山門をくぐると、正面に建つのが茨城県指定文化財の「三世堂」である。宝暦13年(1763年)に建立された堂が大破したため、享和元年(1801年)に再建されたとある。

 外観は2層だが内部は3層になっている。1層目には坂東三十三か所、2層目には秩父三十四か所、3層目には西国三十三か所の各観音札所の本尊の写しを安置している。合計100体の観音像を安置していることから、百観音堂とも呼ばれている。

 内部は上り下りの専用の階段があり、順路に沿って進んでいくと参拝者が交差することなく堂内を一巡できる「さざえ堂様式」になっている。その構造の巧みさには驚かされる。さざえ堂様式の建物は全国で5棟のみが現存するという大変貴重なものとなっている。年に一度の特別公開なので、この機会に足を運んでみてはいかがだろうか。

*所在地取手2-9-1
*駐車場なし(取手駅東口徒歩5分)
*堂内の写真撮影可(他の参拝者・見学者の迷惑にならないように)
 また毎週金・土・日曜日には茨城県指定文化財・取手市指定史跡の「旧取手宿本陣染野家住宅(取手市取手2‐16‐41)」も公開されている。水戸街道に残る3棟の本陣建築の中では、建築年代が最も古く、規模も最大で、唯一敷地や内部も見られるので、いっしょに見学してみては。
*問い合わせ 取手市埋蔵文化財センター
☎0297(73)2010

第114号(2025年4月11日)

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